中国製ダイエット食品（医薬品？）を服用して肝機能障害を起こし、死亡、という事件がニュースになっています。
ウシの甲状腺抽出物を混ぜていたとか、粗悪なニセモノが悪いとか、まぁいろいろな原因があるのでしょうが、基本的に、「健康食品はからだに悪い」と思っていたほうがよいでしょう。
（激ヤセできたと思ったら毒だったなんて、ホント、洒落になっていませんよね。）

すでにトリカブトの話のところでも書きましたが、「天然成分だから安全」「生薬（しょうやく）だから安全」ということはないのです。

植物由来の薬用成分であっても、危険なモノはたくさんあります。

たとえば、上に挙げたトリカブトの生薬名は附子（ぶし）で、鎮痛剤、強心剤に使われます。

下の写真は、山菜と間違えて食べる事故で知られるハシリドコロです。
このハシリドコロの生薬名はロート根（ロートコン）、胃腸薬ロートエキスの原料です。

医学や薬学、薬用植物学の知識がある人にとっては常識ですが、副作用のない薬はありませんし、劇薬に相当する成分を含み、用量を誤ると危険な薬はたくさんあります。
漢方製剤だから安心、植物成分から安心、ということはまったくないのです。
（売薬を無闇に使うより、病院へ行って処方してもらうほうが安全です。）

どうして植物がこのような「危険な」物質を生産し、たくわえているのか……ということについては、進化とも関係しますので、また別のところに書きます（追記：「パセリとキアゲハ」を参照してください）。

さて、私はもともとやせ形だったはずなのに、いつのまにか、へそのまわりや脇腹に脂肪がたまってきました。
いわゆる中年太りですね。
若い頃と胃の大きさが変わらないのに、基礎代謝が落ちているので、からだが必要とする以上食べてしまい、過剰な炭水化物などが脂肪と化しているわけです。

この脂肪を何とかしないと、「Ｔシャツの似合う中年」で居られなくなってしまいます。
……というわけでダイエット（英語で diet って言うと食事療法のことらしいですね）。
ダイエット法についてはいろいろ言われていますが、最も効果的かつ安全な方法は、

• 腹一杯食べない
• 汗をかく程度の運動をする

ということだそうです。

腹八分目にして、歩いたり体操したりすればよいのですが、これがなかなか難しいのですよね。
せっせと山歩きでも……したいなぁ。

ハシリドコロ（ナス科 Socopolia Japonica　4月末、長野県にて撮影）
ヒヨスチアミン、アトロピン、スコポラミンなどのアルカロイドを含む。
新芽をフキノトウなどと間違えて食べる例があり、嘔吐や下痢を起こす。
ときに幻覚症状を起こし、山だろうと谷だろうと駆け回ることがあるという。
ただし、本人は覚えておらず、なぜ血だらけで谷間に倒れていたのか判らないとか……（山男に伝わる「伝説」なので、真偽のほどは不明）。
根がオニドコロ（鬼野老ヤマノイモ科）に似ていて、食べると走り回ってしまうことから、走野老（ハシリドコロ）と名付けられた。